更新日:2026年6月22日
2026 年 4 月から「 子ども・子育て支援金制度 」が開始され、企業では健康保険料とあわせて支援金の徴収が行われています。
制度開始後も、「 会社負担はどの程度増えるのか 」「 給与明細にはどのように反映されるのか 」「 従業員へどのように説明すべきか 」といった相談は少なくありません。
また、支援金率は 2028 年度に向けて段階的な引上げが予定されており、今後の企業負担にも影響を与える制度です。
本トッピクスでは、「 子ども・子育て支援金制度 」の仕組みや企業実務への影響、対応のポイントについて解説します。
1 . 制度の趣旨と徴収の仕組み
① 創設の背景と目的
少子化対策の抜本的強化を図るため、児童手当の拡充( 所得制限の撤廃、高校生年代までの支給延長、第3子以降の増額 )や、「 こども誰でも通園制度 」の創設、育児休業給付の充実などの施策を支える安定財源の確保を目的としています。
② 医療保険インフラの活用
「 子ども・子育て支援金 」は、新たな徴収制度を設けるのではなく、既存の医療保険制度を活用して徴収されます。
制度全体としては、医療保険インフラを通じて幅広い世代・加入者が支え合う仕組みとなっています。
【 子ども・子育て支援金制度の全体イメージ 】

【 加入制度ごとの徴収方法 】
| 加入制度 | 徴収方法 |
|---|---|
| 被用者保険( 協会けんぽ・組合健保 ) | 健康保険料に上乗せして一括徴収 |
| 国民健康保険 | 世帯構成や所得に応じて自治体が徴収 |
| 後期高齢者医療制度 | 75 歳以上の加入者を対象に徴収 |
③「 子ども・子育て拠出金 」との決定的な違い
既存の「 子ども・子育て拠出金 」と名称が似ているため、混同しないよう注意が必要です。
【「 子ども・子育て支援金 」と「 子ども・子育て拠出金 」の比較 】

「 子ども・子育て拠出金( 既存 ) 」は事業主が全額負担する制度である一方、「 子ども・子育て支援金( 新設 ) 」は原則として事業主と従業員が負担する仕組み( 労使折半 )となっています。
2 . 負担額のシミュレーションと段階的増額計画
① 2026年度の支援金率と負担額目安
2026 年度の被用者保険における支援金率は、労使合計で0.23 %です。
労使折半となるため、本人負担・事業主負担はそれぞれ0.115 %となります。
【 2026 年度・年収別の本人負担額目安( 月額 )】

従業員の標準報酬月額に応じた負担額の目安は、上記の通りです。
② 2028 年度に向けた増額ロードマップ
支援金率は、2028 年度に向けて段階的な引上げが予定されています。
政府試算による 1 人あたりの平均月額負担は、以下の通り推移する見込みです。
| 年度 | 平均月額負担( 目安 ) |
|---|---|
| 2026 年度 | 約 450 円 ~ 550 円 |
| 2027 年度 | 約 600 円 |
| 2028 年度( 満額時 ) | 約 800 円 ~ 950 円(※) |
※ 年収によっては、2028 年度の満額時に月額負担が 1,000 円を超える場合があります。
3 . 企業における実務対応のポイント
① 給与計算システムの設定と管理
・計算式
子ども・子育て支援金は、標準報酬月額( または標準賞与額 )に支援金率を乗じて算出します。
【 支援金額の基本的な計算イメージ 】

・端数処理
原則として、健康保険料率と支援金率を合算した料率を標準報酬月額に乗じ、その後に労使折半します。
被保険者負担分の端数は、「 50 銭以下切り捨て、50 銭超切り上げ 」が一般的です。
・賞与対応
給与と同様に、賞与からも徴収されます。
賞与計算ソフトの設定漏れに注意が必要です。
・免除規定
産前産後休業および育児休業期間中は、健康保険料と同様に免除対象となります。
② 給与明細への表示方針
子ども・子育て支援金を給与明細に独立した項目として記載することは、法令上の義務ではありません。
給与明細上は、健康保険料に含めて表示する方法と、支援金を独立項目として表示する方法のいずれも可能です。
表示方法については、給与計算システムの仕様や、従業員への説明方針を踏まえて検討しましょう。
4 . 労務管理と経営への影響
従業員への説明責任
支援金導入による手取り額の減少は、従業員のモチベーションや心理的な納得感に影響を与える可能性があります。
特に、子どもがいない世帯や独身者、高齢従業員などから制度の目的や負担内容について質問が寄せられることも想定されるため、事前に説明方針を整理しておくことが重要です。
・周知のポイント
【 従業員への説明イメージ( 想定質問と回答例 )】

さくら労務からのひとこと
本制度の導入は、単なる事務手続きの変更ではなく、企業が社会保障負担と向き合う契機のひとつといえます。
円滑な制度運用のためには、事前準備と丁寧なコミュニケーションが欠かせません。
「 子ども・子育て支援金 」は、医療保険インフラを通じて健康保険料とあわせて徴収されます。
すでに開始されている制度ではありますが、料率の確認、給与計算設定の見直し、従業員への周知、人件費予算の再試算など、改めて実務対応を確認する機会としてご活用ください。
ご不明点やご相談がございましたら、さくら労務までお気軽にお問い合わせください。