事務所より

さくら労務ニュース 2023年11月

支援強化パッケージ(106 万円 130 万円の壁対策)について

厚生労働省が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するため、当面の対応として発表した「支援強化パッケージ」の概要をお知らせ致します。

  1. 106 万円、130 万円の壁とは、次の金額を指します。これらの金額以上の収入となった場合の社会保険料負担等による手取り収入の減少を理由として、 就業調整をしている方が多く存在していると言われています。
    (1) 社会保険適用拡大により被保険者となるべき要件のひとつ
    月収 8.8 万円以上×12 ヵ月=105.6 万円 → 106 万円の壁
    (2) 社会保険被扶養配偶者(20 歳以上 60 歳未満)に該当する要件のひとつ
    年間収入 130 万円未満 → 130 万円の壁

  2. ご存知のように、これらの壁を超えると社会保険料負担額が発生します。
    (1) 106 万円の壁を超えると
    → 厚生年金保険料・健康保険料を賃金より天引きされます。
    (2) 130 万円の壁を超えると
    → 自らが国民年金保険料・国民健康保険料を支払わねばなりません。
  3. (厚生労働省発表資料より抜粋)

  4. これらへの当面の対応策として登場したのが「年収の壁・支援強化パッケージ」です。
    が、これは、令和7年(2025 年)に予定されている、年金制度改正に向けての、当面の措置として導入されたものであると言えましょう。
    今回の措置としては 106 万円の壁対策として「社会保険適用促進手当を支給する事業主に対しキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)を新設助成する」130 万円の壁対策として「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」があげられています。

 106万円の壁への対応

社会保険適用促進手当とは

※令和5年度の厚生年金保険料率18.3%、健康保険率(協会けんぽの全国平均)10.0%、介護保険料率1.82%の場合の本人負担分保険料相当額(厚生労働省発表資料より)

標準報酬月額 8.8万円 9.8万円 10.4万円
上限額(年間) 15.9万円 17.7万円 18.8万円
  • 新たに社会保険に加入する従業員の手取額が減少しないように、原則本人負担分の保険料相当額を支給する手当です。
  • 社会保険適用促進手当を支給するか否かは事業主様のご判断によります。また、当該措置の対象期間は大2年間とされていますが、支給される場合は、賃金規程への記載が必要です。
  • 新たにこの手当を設け、支給することになります。本人負担分の保険料相当額を上限として、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届を提出する際には、保険料算定の基礎賃金から控除することができます(社会保険料適用時の標準報酬月額が 10.4 万円以下の者に限る)。
  • 所得税や住民税、労働保険料については通常の扱いになります。また、毎月の給与で支給される場合は、割増賃金、平均賃金、年次有給休暇取得時の通常の賃金、最低賃金に含まれますので注意が必要です。

キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コースについて

  • 新たに会社の社会保険に加入する従業員の収入を増加させる取組(「社会保険適用促進手当」の支給や、所定労働時間の延長)を行う事業主が対象です。
  • 一事業所当たりの申請人数の上限はありません。ただし、令和7年度末までに会社の社会保険に加入した従業員が対象です。
  • 令和 5年(2023 年)10 月以降に社会保険の資格を新たに取得した従業員が対象のため、 同年9月以前に既に社会保険の資格を取得している場合は支給対象になりません。



(厚生労働省発表資料より抜粋)

 130万円の壁への対応

事業主の証明による被扶養者認定の円滑化

  • この措置は、令和5年 10 月 27 日以降の被扶養者認定及び被扶養者の収入確認において適用します。
    当該日前の扶養認定及び被扶養者に係る確認について、遡及はしません。
  • 今回の措置は、被扶養者(認定対象者を含む。以下同じ。)の収入確認に当たって、通常提出が求められる書類と併せて、一時的な収入変動である旨の事業主の証明を提出することで、保険者による円滑な被扶養者認定を図るものです。
  • 一時的な収入変動に該当する主なケースとしては、
    1. 当該事業所の他の従業員が退職したことにより業務量が増加した
    2. 当該事業所における業務の受注が好調だったことにより、当該事業所全体の業務量が増加した
    3. 突発的な大口案件により、当該事業所全体の業務量が増加した

    などが想定されており、基本給が上がった場合や、恒常的な手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合は、認められません。

  • この措置による被扶養者認定は、同一の者について原則として連続2回までとされています。
    事業主の証明を用いて一時的な収入変動である旨を保険者(協会けんぽ、健康保険組合等)が確認した場合に「1回」と数えます。認定後、保険者が収入確認を年1回実施する場合これを「1 回」と数えるので、これで「連続2回」になります。
  • 「一時的な収入変動」の具体的な上限額については、これを設けることにより当該上限が新たな「年収の壁」となりかねないこと等の理由により明示することが困難とされました。雇用契約書等も踏まえつつ、当該増収が一時的なものかどうか確認いただくこととなります。
  • 今回の措置の対象は、配偶者(国民年金第3号被保険者)だけではありません。学生さんや、60 歳以上である、または障がいがあることにより年間収入が 180 万円未満であることが被扶養者の要件のひとつとされている方に対しても適用されます。
  • 今回の措置を受けるには事業主の証明が必要です。事業主の証明は、新たに被扶養者の認定を受ける際、または保険者が被扶養者の資格確認を行う際に、被扶養者を雇う事業主証明をしてもらい、被保険者の方が勤務している会社を通じて各保険者に対して提出することになります。


(厚生労働省発表資料より)

詳細は、弊事務所にお尋ねください。
特に助成金をお考えの場合は、申請要件等の事前確認をお願い致します。

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