更新日:2025年11月20日
2025 年 10 月より、地域別の 最低賃金 が 順次引き上げ られ、過去最高の上昇幅となっています。
政府は 2030 年までに全国平均 1,500 円を目標としています。
もし今後も最低賃金が、年 60 〜 70 円のペースで上昇していくようであれば、企業にとっては人件費増への対応が経営上の課題となります。
今回のトピックスでは、最低賃金の改定による企業の 負担増のシミュレーション を行ったうえで 対応のポイント を整理しました。
給与コスト・負担増を正しく把握する
最低賃金の引き上げにより、どれくらい負担が増えるのかを知ることは、経営のうえでとても 重要 です。
〇 主要3都府の最低賃金改定 ( 引き上げ額 )
• 東京: 1,163 円 ⇒ 1,226 円 ( + 63 円 )※ 10月 3日 発効
• 大阪: 1,114 円 ⇒ 1,177 円 ( + 63 円 )※ 10月 16日 発効
• 京都: 1,058 円 ⇒ 1,122 円 ( + 64 円 )※ 11月 21日 発効
※ 以下は、大阪・従業員 1 名・月 160 時間勤務の場合で試算しています。
【 給与コスト 】
◆ 1 時間あたり 1,114 円 ⇒ 1,177 円 63 円増
◆ 1 カ月あたり 63 円 × 160 時間 = 10,080 円増
◆ 1 年あたり 10,080 円 × 12 カ月 = 120,960 円増
年間で一人あたり、 約 12 万円 の コスト増
【 社会保険料 】※ 会社・本人折半 10 %と仮定
◆ 1 時間あたり 63 円 × 10 % = 6.3 円増
◆ 1 カ月あたり 6.3 円 × 160 時間 = 1,008 円増
◆ 1 年あたり 1,008 円 × 12 カ月 = 12,096 円増
年間で一人あたり、 約 12,000 円 の コスト増
増えた負担にどのように向き合うかは、企業の経営を考えるうえで避けられない 課題 です。
余談ですが、本人が負担する 所得税 についても、5 %適用と仮定すると以下のような負担増となります。
◆ 1 時間あたり 63 円 × 5 % = 3 円 15 銭増
◆ 1 カ月あたり 10,080 円 × 5 % = 504 円増
◆ 1 年あたり 504 円 × 12 カ月 = 6,048 円増
年間で一人あたり、 約 6,000 円 の 本人負担増
最低賃金改定に伴う対応ポイント
最低賃金の引き上げに合わせて、以下を確認しましょう。
✅ 月給・年俸の給与計算で手当の扱いが正しいか
✅ 時間単価が正しく計算されているか
✅ 給与規定や給与計算ソフトに反映されているか
正しい処理を行わないと、 未払い賃金の発覚 や 労働基準監督署からの指摘 につながる可能性があります。
経営者だけでの対応では、後になって思わぬ負担が発生することもありますので、思わぬ未払いリスクを避けるためにも 早めの対応 をおすすめします。
『 社会保険労務士 』が経営者の皆さまをサポート!
次の点が気になる場合、社会保険労務士が丁寧にサポートいたします。
• 自社の給与計算が正しいか不安…
• 最低賃金の計算方法がわからない
• 対象となる賃金が不明
まずは、お気軽にお問い合わせください。